パニック障害について

先日、車を運転中に心拍が急に速くなり、手汗や息苦しさ、めまいが生じて運転を中断した女性が当クリニックを訪れました。当クリニックでは、パニック障害の治療に関する本を患者さんに提供していますが、彼女は10月で7冊目を手に取っており、この疾患が非常に多いことを実感しています。

パニック発作のきっかけには、主に2つのタイプがあります。一つは、車の運転中やバス・電車に乗っている際など、狭くてすぐに動けない場所で感じる「閉所恐怖」に関連したもの。もう一つは、人が多く賑やかな広い場所に出る「広場恐怖」によるものです。これらの発作を経験した多くの患者は、「また発作が起こったらどうしよう」という予期不安に悩んでいます。

しかし、パニック障害は適切な治療により改善が期待できる疾患です。治療には薬物療法と認知行動療法があり、薬物療法では軽めのSSRI(抗うつ剤)を使用します。認知行動療法では、発作を引き起こすストレスの要因を分析し、それに対処する認知の方法や、呼吸を中心としたリラックス法などの行動療法を行います。

実際に、今年の春、公共交通機関に乗ると発作を起こしていた女性が、海外で単身赴任中の夫のもとへ旅立ち、治療を終了しました。また、友人の結婚式のために遠出した女性もいます。次の目標はディズニーランドへの訪問です。さらに別の女性は、電車で2駅乗ることができたと喜びを感じています。

パニック障害は改善する病気です。どうか諦めずに、一緒に治療を続けましょう。